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小話:アンジェロパパの話 ブログトップ
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『ククたん』のパパの一日 [小話:アンジェロパパの話]

 マイエラ修道院の近くに、ドニの町という所があります。
 その町はずれには、今も大きな屋敷跡が残されています。かつてマイエラ地方を治めていた、旧マイエラ領主の館跡地です。
 廃墟となった館の一室には、今も、一匹のイッカクフェレルが住んでいました。
 彼の名は、アンジェロ。
 『マルチェロ兄貴』と『ククたん』の、パパです。

 誰も居ないお屋敷の跡地で、『アンジェロパパ』はひっそりと暮らしていました。
 ずっと長い間、独りぼっちで。
 パパは、二人の息子の父親です。特に長男の方は、もうすっかり大人。かつて長男が生まれた頃のパパの歳を、そろそろ追い越そうかという勢いです。
 それなのに。パパは、今も若いまま。
 人間で言うと、35歳位でしょうか。決して若いと言える歳ではありませんが、成人した息子を持つ父親としては、若すぎるでしょう。
 パパの時間は、止まってしまいました。
 ご主人だった旧マイエラ領主様がお亡くなりになった、あの日から。
 二人の妻に先立たれ、息子達とも離ればなれになってしまった、あの時から。
 あの頃と全く変わらない姿で、パパは、今もそこに住んでいます。
 意外と、元気に。
 変わらない若さを、そこそこに満喫しながら。今も、独りぼっちで暮らしています。
 
 
 パパの朝は、けっこう早いです。
 朝起きると、パパは真っ先に身だしなみを整えます。
 何よりも先に、まずは身だしなみ。パパは、とってもお洒落好きです。
 お気に入りのシルクハットを被り、自分の毛並みのさらさら具合に満足して。パパは、やっと朝ご飯を食べました。
 そして、こないだ芽を出したばかりの木の実に、朝の挨拶です。


「おはよう。今日は、良い天気だ。……元気に育つのだよ」

 パパの気持ちが伝わったのか、木の実は若葉を揺らしました。
 パパの島は雪に覆われ、とっても寒い所。だけど、何を間違えたのか、木の実は芽吹いてしまったのです。
 せめて、陽射しがいっぱい降り注ぐように。パパは、木の実を島の一番真ん中に置きました。
 さて、今日は何をして過ごしましょうか。
 何はともあれ、まずは…… お屋敷を出て、街へ行ってみることにしましょう。 


「ああ、おはよう。新聞を一部もらえるかな」

 GLL中央広場にやって来たパパは、真っ先に新聞スタンドに寄りました。
 まるで隠居しているかのように、ひっそりと暮らしているパパですが。実は、新しい物が大好き。
 でも、ただ新しければ何でも良いと言うわけじゃありません。新しい物の中から、自分に相応しい物を見極める。それも、楽しみのうちなのです (たまに失敗することもありますが……)
 そんなパパは、リヴリー・タイムズの愛読者。
 自ら新聞スタンドに足を運んでは、新しい新聞を買い求めるのです。
「ふむ、今月にはまたイベントがあるのだな。……楽しみだ」
 パパは、独り顔をほころばせました。
 停滞した時間を生きるパパにとって、新しいものや新しい情報に触れることは、自分を繋ぎ止めておくことと同じ。
 それはパパにとって、楽しみ以上の、とても大切なことなのです。
 パパ自身は、あんまり気付いていませんけどね。
 
 
 新聞に満足したパパは、もう少しお散歩をすることにしました。
 パークゲートを抜けて、ティータイム公園へ。慣れた足取りで、茂みの中の細い道へ入っていきます。
 茂みを抜けると、水たまりがいっぱいある広場に出ました。
 そこは、「アメンボ公園」と呼ばれる場所です。
 だけど、今は冬。芝生には雪が積もり、水たまりはすっかり氷に覆われて、アメンボたちもどこかへ行ってしまいました。この寒さでは、訪れる人もあまりいません。
 でもパパは、この冬のアメンボ公園が気に入っていました。
 何しろパパは、イッカクフェレルですから。雪と氷の世界は、とても心安らぐのです。


「……ああ…… いい気持ちだ……」

 凍った水草を枕に、ひとやすみ。
 パパの雪色の毛並みは、まるで氷の中に溶け込むようです。
 今日のアメンボ公園は、特に静かでした。誰も人がいません。のんびりお昼寝をするには、丁度良いです。
 しばらくの間、パパは、氷の冷たい感触を楽しんでいました。
 だけど…… こんな広い公園で、独りぼっち。
 やっぱり、ちょっと淋しいです。
 孤独を愛しているパパですが、本当は、淋しがりやさん。だんだん、人恋しくなって来てしまいます。
「……ああ、もうこんな時間か…… そろそろ、行かなくては」
 まるで口実のように、パパは懐中時計を見て呟きました。
 ふるふるっと、乱れた毛並みを整えると。シルクハットをかぶり直し、アメンボ公園を後にします。
 向かう先は…… 小さな小さな、名も無き島。
 その小さな小さな住人が、今日もきっと、パパが来るのを待っているでしょう。


「やぁ、こんにちは。遅くなってすまないね。待ったかい?」

 パパが島に降り立つと、小さな青いおめめが、じぃっとパパを見つめていました。
 ふかふかのお耳に、可愛い尻尾。その身を包むふわふわの毛並みは、桜色です。
 この子は…… パパの末息子、『ククたん』でしょうか?
 いいえ、違います。
 『ククたん』にどことなく似ていますが、知らないピキの子供です。男の子か女の子かは、よくわかりません。
 ちょっと前。パパは、お散歩の途中にこの子と知り合いました。
 どうやらこの子も、ご主人様と離ればなれになってしまったようです。今では、すっかりパパに懐いてしまったのでした。
 小さな茂みしかない島には、お墓が2つ。
 もしかしたら、この子のパパとママのお墓かもしれません。だけどパパは、それを訊く気はありませんでした。
「ほら、お弁当を持ってきたよ。おじさんと一緒に食べようね」
 パパはお弁当を取り出して、その子にも分けてあげました。
 小さなピキの子は、嬉しそうに駆け寄って来ます。
 そして、分けてもらったフサムシのサンドイッチを、もぐもぐと食べ始めました。


「おいしいかい? ……よかったね」

 もぐもぐと美味しそうに食べるピキの子に、パパも笑みがこぼれます。
 パンをほおばるほっぺの可愛さとか、一人前にも、ちょっとお澄ましした食べ方とか…… 本当に、『ククたん』に似ています。
 まるで、息子がそこにいるようです。
 そう思ってしまった時。パパは、「いけない」と自分を諫めます。
 だって、自分がそんな風に思っていると知ったら、この子はきっと悲しむでしょう。
 誰だって、『身代わり』になんかされたくありません。そんなのは、ただ空しいだけです。
 でも。
 
 こんな時、どうしても胸を過ぎってしまうのは…… あの頃の記憶。
 パパのご主人様がまだ生きていて。愛する二人の奥さん達も、まだパパの側にいて。
 そして、可愛い二人の息子が側にいた、遠い日の記憶です。
 そんな幸せな日々は、一瞬でした。
 末息子が生まれて少しした後に、一人目の奥さんが天国へ行ってしまったのです。
 ……いえ、正確には、『二人目』だったのですが。
 母親の死に絶望した上の息子は、パパと末息子への強い憎しみを抱いて、家を出ていってしまいました。
 そして、すぐにもう一人の奥さんが亡くなり、パパのご主人様も亡くなって……
 パパの時間は、止まってしまいました。
 側に置いていた末息子とも、いつしか離ればなれ。停滞した時間に生きる者は、独りぼっちでいなければいけないのです。
 これは、神様が与えた、罰なのでしょう。
 パパは、そう思っています。

「……お弁当、ここに置いておくからね。後でお食べ」
 もうひとつ持ってきたお弁当を、パパはそっと草の上に置きました。
 名残惜しそうなピキの子に、「また明日来るからね」と頭を撫でてやって。パパは、小さな島を後にしました。
 そして、また街の方へ向かいます。
 だけど、パパがやって来たのは、パークゲートの外れ。常に夜空が空を覆う、とても淋しい所です。
 そこは、セントミラノス霊園。
 リヴリーたちのお墓が立ち並ぶこの場所は、いつもひっそりとしていました。今日は特に、お墓の上にも雪が積もって、とても寒々としています。
 時々、淋しくなると…… パパは、ここへ来ます。
 奥さんたちもご主人様も、大切な人達がどこに眠っているのか、パパは知りません。おそらく、ここではないでしょう。
 だけど。ここはきっと、一番天国に近い場所。
 だから、どうしようもなく淋しくなった時。パパは、ここへやって来るのです。


「……………………」

 よろりと蹌踉めくように、パパは、お墓に額を押し当てました。
 これは、大切な人の墓標ではありません。だけど、きっと天国へ繋がっているでしょう。
 繋がっていて欲しい。
 パパは、そう願います。
「………………」
 パパは、静かに目を閉じました。
 こうしていても、大切な人達の声は聞こえてきません。
 パパのご主人様は、もう、お亡くなりになってしまいました。だから、こうやって大切な人達に想いを馳せることは、独り残されたパパの、役目なのです。
 だけど。
 ご主人様は、なんて辛い役目をパパに託したのでしょう。
 パパは、時々、考えます。
 愛する妻達と一緒に、私も…… 天国へ、行けていれば……
 だけど。
 それはきっと、許されないこと。
 だから、こうして。パパは、今も生きています
 停滞した時間の中を。歳を取ることもせず、あの頃と同じ、若い姿で。
 独りぼっちで、パパは、今日も生きています。
 
 
 パパは、お屋敷に帰りました。
 誰も居なくなった廃墟に、パパの靴音だけが響きます。カツン、カツン…… それは、とても大きな音です。
 シルクハットを脱ぎ、パパは軽く埃を払いました。
 そして、また頭の上に乗せると。独り、自分の部屋へと戻っていきます。
 だけど。
 ふと、パパは足を止めました。
 何だか、良い香りがするのです。それはとても仄かだけど、どこか、懐かしいような香りです。
「………っ……」
 こくんと、小さく息を飲むと。パパは、駆けるように島に戻りました。
 すると、どうでしょう。
 可愛いふわふわのお耳が、帰ってきたパパに、嬉しそうにぴょこんと跳ねたではありませんか。


「あっ、パパだ! パパっ、パパっ、おかえりなさ~い♪」
「……っ! クク……」

 こくん。パパはまた、息を飲みました。
 そこにいるのは、小さな小さな男の子。パパの可愛い末息子、『ククたん』です。
 驚きを隠せないまま、パパが近付いていくと。『ククたん』はちょこちょこ駆け寄って来て、ぎゅーっとパパにしがみつきました。
 そして、雪に覆われていた草原は、お花でいっぱい。 
 とっても、良い香りです。
「あのねっ、オレ、パパを待ってたの」
 嬉しそうにパパを見上げて、『ククたん』は言いました。
 『ククたん』が遊びに来たのは、ついさっき。パパがお留守だったので、帰って来るのを待っていてくれたのです。
「木の実さんが寒そうだったから、いっぱいお花を咲かせたんだよ♪」
 そう言って、『ククたん』はにっこり笑います。
 その微笑みは、まるで小さなお花のようです。雪原にいじらしく咲く、春の花。ああ、なんて、可愛らしいのでしょう。
 パパも、にっこりと笑いました。
 自分を待っていてくれた、小さな小さな男の子。
 自分の血と、大切な人の血を受け継いだ…… パパの可愛い末息子、クク。

 ………ああ…… そうだった………

 胸の中で、パパは独り噛みしめました。
 パパの大切な人達は、天国へ行ってしまいました。
 だけど、大切な人は、まだここにもいるではありませんか。
 大切な、大切な。自分と、大切な人たちの血を継ぐ息子が…… そう、二人も。
 ご主人様がパパに託した役目は、ひとつではなかったのです。
 それは、とても辛いけど…… とても幸せな、役目。
 だから、そう。
 その為にパパは、今もこうして生きています。
 あの頃と、まるで同じ姿で。変わらない若さを、それなりに満喫しながら。
 今日も、元気に暮らしています。


「ねぇ、パパ? この木の実さんは、どんな木になるのかなぁ」
「そうだね。どんな木になるのだろうね」
「おっきな木になるかなぁ。きれいなお花が咲くのかなぁ。楽しみだね、パパ♪」
「……ああ。楽しみだね、クク……」

 無邪気な末息子に、パパは目を細めます。
 この木の芽が大きくなるころには、きっと、この子も大きくなっているだろう。
 その時はまた、一緒に、育った木を眺めたい。
 もしも、許されるのなら…… その時は、どうか、あの子も側に………
  
 優しい春の空気に包まれて、『ククたん』とパパは、いつまでも木の実を見つめていました。
 パパは、今日も幸せです。
 
 
 
 
 
 

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『ククたん』と 檻の中のニトロ [小話:アンジェロパパの話]

■ 『ククたん』のパパ『アンジェロパパ』は、流行には乗り遅れない人です。
色々なことがあって、今はひっそりと暮らしているパパですが…… それでも、新しい物を取り入れようとする姿勢は健在。
毎週ヤミショップカタログを取り寄せては、買った新商品を島に飾ったりして、楽しんでいます。
今までは自分しか見てくれる人がいなかったので、ちょっと淋しかったパパ。
でも最近は、2人いる息子の内の1人が、ちょこちょこ遊びに来てくれるようになりました。
まだ幼くて可愛い盛りの、末息子『ククたん』。
「またククが遊びに来た時の為に……」 と、流行物集めにもますます気合いの入るパパです。

■ そして、先日のこと。
ヤミショップから送られてきたカタログに目を通したパパは、今回のイチオシ商品に目を止めました。
それは、「檻の中のニトロ」。鳥籠みたいな可愛い檻の中で、ミニリヴのニトロがブラブラと動いています。
その珍しさに心惹かれたパパは、さっそくニトロを注文しました。
木の枝に檻をぶら下げておくと、まるで小鳥を飼っているような気分です。そのブラブラという動きが、何とも愛嬌があるではありませんか。
そうやって、パパがニトロを眺めていると。
ぽんっ☆ と可愛らしい音がしたかと思うと、小さな桜色の子がパパに駆け寄って来ました。
やって来たのはもちろん、パパの可愛い末息子、『ククたん』です。


「パパっ、パパっ、見て見て♪ オレ、おひめさまなんだよ☆」
「ああ、クク。……フフ、本当に可愛いお姫さまだ。マルチェロが買ってくれたのだね」
「そうなの、兄貴が買ってくれたの! オレ、兄貴だ~い好きなのvv」

パパの前で、嬉しそうにぴょこぴょこする『ククたん』。
お兄様にティアラを買ってもらって、大喜びで見せに来たのでしょう。そんな仲睦まじい兄弟の様子に、パパも嬉しくなってしまいます。
「では、小さなお姫さまにおやつをあげようか」
そう言って、パパはケセランパセランを持ってきてあげました。
白くてふわふわのケセは、『ククたん』の大好物。パパからもらったおやつに、『ククたん』も大喜びです。
さっそく巣穴のひとつにちょこんと腰掛けて、美味しそうにもぐもぐ。
そんな無邪気な息子の姿を見ていると、パパも心癒されるのです。
ところが。
『ククたん』の小さなおめめが、ふっと、ニトロに向かいました。
すると、どうしたことでしょう。ごくんとケセを飲み込んで、『ククたん』は凍り付いてしまったではありませんか。


「……あれ…… これ……」
「ああ、それか。その子は、ニトロと言うのだよ。可愛いだろう?」
「…………」

パパが問いかけても、『ククたん』は返事をしません。
何かぼんやりとして、ニトロの檻を見上げているだけです。いつもの無邪気な表情も、すっかり抜け落ちてしまっています。
パパは、ハッとしました。
その横顔が、妙に大人びているような気がしたのです。
すると、不意にすくっと立ち上がった『ククたん』。
ぴょんぴょんっと巣穴を足がかりにして、高い枝の上に登っていってしまいました。


「……そうなの…… 閉じこめられちゃったんだね……」
「こらっ、クク! そんな所に登ったら危ない、降りて来なさい!」
「……何か、悪いことしちゃったの……? 許してもらえないの……? かわいそうなの……」

枝に積もった雪の上から、『ククたん』はニトロの檻をじっと覗き込みます。
ちょっと足を滑らせたら、下に真っ逆様です。パパは慌てて『ククたん』を呼び戻そうとしました。
だけど『ククたん』は、ただじっとニトロを見つめて、何かを話しかけているようです。小さなその声が、パパの耳にも微かに届いて来ます。
すると。その時でした。
『ククたん』の青い眼から、ぽろっ… と、涙がこぼれ落ちたのです。
『ククたん』は、パパを見つめました。その小さなおめめから、小さな雫がぽろぽろ。
枝に積もった雪を、暖かな雫が溶かして行きます。溶けた雪の雫も、ぽろぽろ、ぽろぽろ。
そして、小さな泣き声は、だんだんと大きくなって行きます。


「くすん、くすん…… とじこめちゃダメだよ…… いやだよ…… こわいよぉ……」
「っ、クク……」
「……ないで…… とじこめないで…… こわいよ…… こわいよぉ……! うあぁぁぁぁぁ!!」

ごくん。
パパは、息を飲みました。
こんな状態の息子を見るのは、初めてです。泣いてる所なら見たことはありました。だけど、それは「わぁぁん、パパぁ!」みたいな、半分パパに甘えるような泣き方だったのです。
だけど、今日の『ククたん』の泣き方は、それとは違いました。
『ククたん』は優しいから、ニトロに共感して泣いているのかとも思いましたが…… どうやら、それだけではないようです。
本気で、怯えています。
自分でもどうして泣いているのか、よくわかっていないのでしょう。怯えている自分自身が怖くて、余計に泣いているような感じもします。
「クク…… 何を、そんなに……」
ぽたぽたと落ちる雫を見つめて、パパは独り呟きました。
と、その時。
水面に落ちた雫が、パッと波紋を広げていくように。
パパの頭に、ひとつの疑問が浮かびました。
 
 
よく考えてみれば…… おかしい。
 
 
かつて、パパには、二人の奥さんがいました。
ひとりの奥さんは、『マルチェロ兄貴』のママ。もうひとりの奥さんは、『ククたん』のママです。
二人の息子が生まれた日のことを、パパは、今もよく覚えています。
だけど。おかしいのです。
『ククたん』が生まれた時、『マルチェロ』はまだ子供でした。
今の『ククたん』よりちょっとだけ大きい、まだまだ可愛い盛りの男の子。
だけど、『マルチェロ』のママが亡くなったと同時に、『マルチェロ』は行方知れずになってしまいました。
その時のことを、パパは忘れたことはありません。
パパが、最後に『マルチェロ』を見た時…… 彼は、少し成長した少年でした。
今はすっかり大人になった『マルチェロ兄貴』も、その時は、まだまだ子供だったのです。
だけど。
だけど、やっぱり変です。
胸を痛めるパパに、何も知らず「おにーちゃんはどこいったの?」と尋ねてきた、あの日の『ククたん』。
その姿は、そう。
今と、ほとんど変わらない…… 小さな小さな、幼子だったのですから。
 
 
何故。
 
何故この子は、幼子のままなのだろう。

何故この子は、幼子でありながら、自らを「オレ」と呼ぶのだろう。

何故この子は、こんなにも怖がりなのだろう。

何故この子は、こんなにも大人びた顔をするのだろう。

何故この子は、こんなにも、こんなにも、泣いているのだろう。
 
 
それは、もしかしたら…… やはり…… 私の、せい…………?
 

 
「………クク。おいで」
そっと目を細めて、パパは息子に呼びかけました。
未だにひくひくとしゃくり上げながらも、『ククたん』はパパの元に降りて来ます。
一生懸命に泣くのを堪えようとするその姿は、幼い少年そのもの。
涙でぐしょぐしょになったその頬に、パパは優しく顔を擦り寄せました。


「そうだな、クク。閉じこめたりしたら可愛そうだ。……パパが悪かった」
「……くすん…… パパ……」
「ニトロの檻は、扉を開いておくことにしよう。そうすれば、いつでも外に出られるだろう?」

そう言うと、『ククたん』の顔がぱぁ… と明るくなって行きました。
扉が開いているのなら、そこはニトロの家。外へ出ていくのも、帰ってきて中で眠るのも、ニトロの自由なのですから。
『ククたん』は、すっかりにこにこ。
新しいお友達のニトロに、さっそく駆け寄って行きます。


「よかったね、ニトロちゃん♪ これで一緒にお外で遊べるね☆」
「……クク……」

ティアラを被ってぴょこぴょこ飛び跳ねる『ククたん』は、いかにもちっちゃい子らしいあどけなさ。
可愛いらしいその笑顔は、パパの胸に染み込むようです。
だけど。
今日のパパは、それを見ていられませんでした。
そして、独り小さくため息をつくと。そっと、瞼を伏せてしまいました。

そんな、ある日の出来事です。
 
 
 

 

 
■ 『ククたん』と『マルチェロ兄貴』の年齢差を、不審に思われていた方もいらっしゃるでしょう。
まぁ、私の趣味と言っちゃえばそれまでですが。
でも、実は裏に何か秘密があるようですね。何だか、けっこう深刻そうですね!
って言うか、さっき思いついたんですけどね!(爆)
そのうち、明かされるかもしれません。ヤミショップの商品次第では(笑)

■ ここ1週間ほど、ソネブロを離れておりました。
その間に、色々なことがありましたね。ハロウィンイベントの概要も告知されましたし。楽しみ楽しみ♪
それから、レイアウトコンテスト!
『ククたん』も、張り切って参加しましたよ。『ククたん』がって言うか、お兄様が「ククに相応しいレイアウトを…!」って張り切ったのですが。
何か7000以上応募があったらしいので、今回も諦めムードは満点ですが(早っ)。レイアウトを考えるのは楽しかったですー♪
せっかくなので、『ククたん』のレイアウトをここに。


【人魚姫と月】

って言うか、人魚姫ってあたりでかなり血迷ってるんですが…… ここはひとつ、『ククたん』にはお姫さま役で行ってもらうことに。
他のリヴリー達のレイアウトは、また後日~。

■ そうそう、バルビの方もけっこう遊んでいます。
こないだ『くくぅる』がウサギさんを見つけて大喜びしたり、隣に『まるちぇろあにき』が越してきたり、あにきはガチャまでやってみたり、兄弟そろって倉庫を買ってみたり、色々大変です。お金とかが。
ガチャにはあんまり手を出さないことにします……
その分、ヤミショップの方に回したいので。来週の商品も楽しみですね~♪


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『ククたん』とその後の『トープス』 [小話:アンジェロパパの話]

■ 前回、お兄様から『トープス』をプレゼントしてもらった『ククたん』です。
ところが、突然真っ赤になってポンポン湯気を吐きはじめた『トープス』に、『ククたん』はビックリ仰天。すっかり怖くなって、お兄様に泣きついてしまったのでした。
その後、『トープス』は『ククたん』の島から姿を消してしまいました。
どこへ行っちゃったんだろうと思いつつも、あれだけ怖がっていた『ククたん』ですから。ちょっとだけ、ホッ…。
そして、数日後のこと。

■ その日、『ククたん』はパパの所に遊びに行きました。
今までずっと生き別れだった、イッカクフェレルのパパです。最近、お兄様に内緒で再会を果たすことが出来たのでした。
遊びに来た『ククたん』を、パパは嬉しそうに迎えてくれました。
ひっそりと暮らしながらも、流行には乗り遅れないパパ。島は白バラの茂みに包まれて、とっても良い香りです。
優しいパパに会えて、『ククたん』もご機嫌です。
ところが、『ククたん』がふっと掲示板の方に目をやると…… そこに、あの『トープス』がいるではありませんか。


「わぁっ! パ、パパ~……!」
「うん? 大丈夫だよ、クク。怖くないから」

びっくりした『ククたん』は、咄嗟にパパの陰に隠れてしまいました。
『トープス』も、急に『ククたん』が来たので驚いたのでしょう。わたわたと、掲示板の陰に隠れてしまいます。
そんな二人に、パパは思わずくすくす。
パパが言うには…… この『トープス』、『ククたん』の島の近くを彷徨っていたのだそうです。
そこを丁度パパが見つけて、自分の島に連れて帰ったのだとか。
『ククたん』も、この前のことを話しました。
『トープス』をお兄様からもらったこと。だけど、とっても怖くなってしまったこと。などなど。
『ククたん』のお話を、パパは黙って聞いてくれました。
そして、青い眼をそっ… と細めると。穏やかに、こう言ったのです。


「きっと、マルチェロは…… お前を怖がらせた者が、許せなかったのだろうね」
「……え?」

ズキン…。
『ククたん』は、ハッとしました。
兄貴は、自分のことを心配してくれたのです。だから、自分を怖がらせた『トープス』に怒って、追い出してしまったのでしょう。
確かに、怖いものがいなくなって、『ククたん』はホッとしました。
だけど…… 追い出されてしまった『トープス』は?
運良くパパが見つけてくれたから、今も元気にしています。だけど、もしもパパが通りかからなかったら、どうなっていたでしょう。
自分が、「こわいよ」なんて言ったから。
ちょっとビックリしただけで、「こわいよ」なんて。
もしも自分がそんなことを言われたら、すごく悲しいに決まってるのに……。
『ククたん』の青いおめめに、じわぁ… と涙が浮かんできました。
ちいさな身体は、もうふるふる。えくっえくっと、小さくしゃくり上げてしまいます。
「さぁ、クク。こういう時は、どうするのかな?」
そんな『ククたん』を、パパは、そっと前足で撫でてくれました。
ごしごしっと、目を擦った『ククたん』。
そして。おずおずと、そのミニリヴへと近付いて行きます。


「トープスちゃん、ごめんなさい。あの…… お友達になってくれる?」

パパに見守られながら、『ククたん』は、『トープス』に手を差し伸べました。
これには、『トープス』の方がビックリ。また真っ赤になって、ポンポンと湯気をはき始めます。
だけど、今度は『ククたん』も驚きませんでした。
だって、何だかまるで…… 嬉しさに、『トープス』がはしゃいでいるように見えたのですから。


「いい子だ、クク。だけど、もうひとりごめんなさいをする人がいるだろう?」
「え? もうひとり?」
「そう。ごめんなさいと…… それから、もうひとつ」

そう言って、パパはにっこり笑いました。
一瞬、きょとんとした『ククたん』。
だけど、ぱぁっと顔を輝かせると。パパと『トープス』にさよならを言って、パパの島を後にしました。
向かった先は…… もちろん、あの場所です。

■ 『ククたん』が降り立つと、そこは相変わらずの雪景色でした。
空からは、雪の結晶がひらひら。雪原に凛と立つ樹氷を、今日は白バラの茂みが覆っています。
樹氷の根本で、大きな人影がふっと振り返りました。
それはもちろん、『ククたん』の最愛のお兄様、『マルチェロ兄貴』です。
ところが。


「……ああ、ククか…… おいで」
「あれれ、兄貴? どうしたの? おねむになっちゃったの?」
「うむ…… 少々、疲れてな…… おいで、クク」

今日のお兄様は、何だかとってもお疲れのご様子でした。
帽子はちょっとずれちゃってるし、いつもはキリッとしたお顔もどこか眠たそう。『ククたん』を、しきりに側へ呼び寄せようとします。
『マルチェロ兄貴』は、法王マルチェロ様の分身。
毎日法王様としてのお仕事がいっぱいで、実は、とってもお忙しいのです。
だけど、普段のお兄様は、疲れた様子なんか微塵も見せません。いつもキリリとして、余裕たっぷり。それが、『マルチェロ兄貴』なのですから。
だけど、今日のお兄様は、本当に疲れ切ってしまったようでした。
気丈に振る舞う余裕もなく、ただ『ククたん』をぎゅーっと抱きしめる『マルチェロ兄貴』。
『ククたん』の小さな胸が、何だかキュッとしました。
お兄様は、お疲れです。
いつも格好良くて、『ククたん』をすごく大事にしてくれるお兄様ですが…… たまには、こんなに疲れ切ってしまうこともあるのです。


「兄貴、ワガママしてごめんね。……いつもありがとうなの」
「……うん……? うむ……」

もう半分寝言のように、お兄様は頷いてくれました。
ちっちゃな『ククたん』の身体は、とってもふわふわ。抱っこしているだけで、ぬくぬく暖かいのです。
辺りは白バラの茂みに包まれて、とっても香り。
『ククたん』を抱っこしたまま、お疲れお兄様は、すやすやと眠ってしまいました。
兄貴の、心の栄養剤。
そんな風になれたらいいなぁ…… と。幼心に願う、『ククたん』です。


■ ↑こちらのラインは、nanasekasui様がお作りになったのをお借りしました。
ありがとうございますー! 素敵vv
まずます物語して来ちゃってますが…… 一応私、同人小説書きなので。ついつい長々と書いてしまいます。
こういう絵本的な文体は、書きやすいですな。現在〆切に追われる身なので、現実逃避です。
(「追われる」を変換ミスしておりました; 本当に文章書きですか、私……orz)

■ 最近、携帯の待ち受けを自分で作るのがブームです。
やっぱりnanase様のブログで記事を拝見して、「そうか、自分で作ればいいんだ!」って思ったのですが(笑)
現在の待ち受けは、こちら↓


【お兄様、『ククたん』を抱っこしておねむの図】

うわ~ん、可愛い~vv(*>▽<*)←親バカ
物語内最後の写真の、拡大版です。丁度雪の結晶が帽子にかかって、ちょっと良い感じに。
JPEGですが、かなり低圧縮で保存した方が良いみたいですね。
これくらいの大きさなら低圧縮でも軽いし、携帯で表示しても綺麗です。

■ 前回いただいたコメントで、憧れのニック様が、白バラの茂みを「チッシュが落ちてるずら」とおっしゃっていて…… 大爆笑でありました。
そう考えると、今回の写真は全部ティッシュが散乱しまくりということに(笑)
父、兄、弟と、まるで一家そろって花粉症のようであります。
そう言えば、昔、紙でお花作りましたよねー。文化祭の前とかになると、山のように。懐かしいです。
……そう考えると、どんどんティッシュのお花に見えて来るんですが……(笑)
 
 
■□ 追記 □□
独立記事立てる気力がないので、ここに追記で申し訳ないのですが……
来年のお正月限定リヴリーだという「ウボー」、コダックの年賀状絵で見ました。
…………………
ウ、ウリ坊みたいなころんとした感じの子を想像していたのですが……(汗)
何だか、オーガタイプなのですね。二足歩行みたいだし。ウリ坊だからウボーなんだとばっかり……
うむぅ。
まぁ今はそれよりも、ハロウィンの限定リヴとネオベルミンがどうなるのかが気になります。
新種もいいですけど、ヘンプクとかヴォルグとか、今までのハロウィンリヴの再ネオベルミンとかでもいいですよね。
でも、どちらにしてもウチの子たちは種族決定してるので、ネオベルミン使えないのですがね;

これから原稿の本格的修羅場に突入なので、しばらくこちらもお休みします。
もしかしたら、突然現実逃避で書いてるかもしれませんけどね…… ヤミショップ次第では……


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